INTERVIEW

スタッフ

渡上まゆ(38)

オペレーター・ドライバー・求人担当

ここが女の子たちにとっての「最後のお店」になってほしい。 

この記事のポイント

キャストとして働いていたからこそ、支えになりたい。

大切にしているのは、ひとりひとりに対する『理解』

楽しいところに人は集まる。だから活気のあるお店にしたい。 

元キャスト。今はお店に恩返しをしたいと思っている。 

まゆさんが最初にピュアハートにやってきたのは、スタッフとしてではなく、キャストとして働くためだった。

「母親が病気で倒れて、大きな借金があることを知ったんですよね。それでまとまったお金が必要でここに来ました。途中何度も辞めたいと考える事はありましたけど、それでも結果的に6年働きましたね」

キャストとして6年働き、借金返済後にはまとまったお金を必要としなくなった。この先どうしようかと考えた時、身近なところで不幸が重なり「生きること」について深く考えるようになった。そのうちに、仕事に対しての考え方も変わってきたのだと言う。

「今度はスタッフとして、ここで働くことを決めました。風俗に携わったことを後悔で終わらせたくないっていう気持ちと、どんなに些細なことでも何かしら誰かの役に立つことができたら、これまでに経験してきたことは何ひとつ無駄じゃないと思うんです。良い事も嫌な事もぜんぶ。ある意味、お店や、これまでに応援してくれたひとたちへの恩返しと言っても良いかもしれません」

実はまゆさんは、ひとり娘に仕事についてカミングアウトをしている。現在、風俗店でスタッフとして働いていること。元はキャストとして働いていたこと。社会人になった娘に、経緯も含めて全てを話した。戸惑いもあったのかもしれないが、娘は母親の全て受け入れてくれた。

「娘の存在は大きいです。彼女のおかげで私は人として逞しくなれたのだと思います」

娘が全て受け入れてくれたのは、社長の力も大きいのだとまゆさんは教えてくれた。澤瀬社長は写真を撮ることが趣味。同じ くまゆさんの娘も写真が好きで、澤瀬社長からカメラを借りて、写真を撮りに行くこともあるらしい。

「娘も社長のことを知っているんです。社長は昔から私だけじゃなく、娘のことも気にかけてくれました。社長にはたくさん 恩があります」 

過去の経験を活かし、今は女性スタッフとして相談役を引き受けている。 

「昔はやんちゃでしたね。やんちゃな友達も多かったですし。高校には進学したんですけど、学校自体が好きじゃなくて、中退しました。家出して、年をごまかして水商売をやったり……。大人に反発しまくって荒れてた時期でしたが、育ての親だったばーちゃんが入院したのをキッカケに更生しなきゃと思ったんですよね。悪友たちと縁を切るために県外に引っ越して、いろんな仕事をしながら、娘を産んで…」

そう昔を振り返るまゆさんは、いろいろな業種を経験し、苦労を重ねたに違いなかった。けれど、笑いを交えて過去の経歴を話してくれるまゆさんからは、苦労の影は感じなかった。

「古着をリメイクするのが好きなんですよ。私はばーちゃん子だったんですけど、小さいころ頃からばーちゃんの針仕事を真似ていたおかげで裁縫が得意で既製品にないものを作ったりとか。集中してる時の“無”に近い感覚が好きというか、細かい作業をちまちまやるのが向いてるのかもしれません(笑)」

一転して、趣味や特技について話をしてくれる時のまゆさんは、活き活きとして楽しそうだった。今の仕事や生活はとても充 実したものなのだろう。 

大切にしているのは、女の子達、ひとりひとりに対する理解。

まゆさんの仕事は、電話オペレーターや送迎ドライバー。そのほかに、細々とした事務所内のことを片付けている。

「女の子の相談役も努めたいんですが、これには難しい部分もあるんですよね。自分から必要以上に積極的に話しかけるのも良くないか なって思うんですよ。踏み込まれたくない領域だったり、触れて欲しくない部分っていうのは、きっと誰にでもあるはずですから」

唯一の女性スタッフとして、お店の女の子が困った時、気軽に相談できる人間になりたいと考えている。しかし相談役とし て、どんな距離感でどんなふうに接するのが最善なのか、今も考え中で、模索中だ。

「でも1対1になった時、普段話さないようなことを話してくれることもあります。背景にあるプライベートな事情はもちろん、個性もみんなひとりひとり異なるので、理解を深められるよう、先入観や固定観念を持たずに接することを常に心がけてます」

先日は、都会から出稼ぎに来ている女の子が「星が見たい」と言ったので、お店の営業終了後に送迎車で星の見えるスポットに連れていってあげた。 女の子たちの要望は、できる限り叶えてあげたいと考えているからだ。

「でも、星を見るなら私の生まれ育った場所のほうがかなりよく見えます(笑)」  

ここが女の子たちにとっての「最後のお店」になってほしい。 

「女の子たちの内面的な魅力をお客さんに知ってもらえた時、やっぱり嬉しいですね」

電話を受けた時、お客さんが「誰を呼ぶか」迷っている時もある。そんな時にまゆさんは、「具体的に何を重視されますか?」と尋ねる時がある。

美人な子、かわいい子、細身の子、ぽっちゃりの子、愛想が良い子、笑顔がかわいい子、物静かな子。お店にはいろいろなタイプの女の子 がいて、皆それぞれに良い部分を必ず持っている。ルックス重視のお客さんもいれば、ちょっと疲れ気味なので癒されたい気分だと伝えてくるお客さんもいるし、気遣いができるような優しい子がいいと言う方もいる。お客さんが求めているもの、重視されるポイントも多種多様。女の子のどこを気に入って、リピーターになってくれるのかはわからない。だからこそ女の子それぞれの個性を知る必要があり、そのためにも女の子ひとりひとりを理解したいと考えている。

「性的なサービスを行う業種なんですけど、体だけじゃなくて、心にも残る余韻というか……。心地良さや楽しさを提供する仕事だと思っています。優しさだったり、ぬくもりだったり、気持ちに寄り添うことで、それが“明日もがんばろうっ”ていう気持ちに繋がる。それを女の子たちに理解してほしいし、誤解を恐れずに伝え続けることも自分の役目なのかなと思っています」

プライベートな部分では、女の子たちにはそれぞれいろいろな背景や事情がある。自身もまた心折れそうになってもブレずに貫いてこれたのは、『個人』を理解し、見守ってくれる存在たちと出会えたからだと言う。だからこそ、本音で向き合い、受け止め、それぞれの壁にぶつかった時にどうサポー トするべきか、まゆさんはいつも考えている。

「大変なこともあるけど……、いや大変なことのほうが多いかもしれないけど、その中で学ばされる事も本当にたくさんあります。このお仕事を通して得られるものって大きな収入ばかりじゃないと思うんです。未経験の子にとっては最初で最後のお店になってもらえたら嬉しいですし、すでに経験されたことのある女性にとっても、この仕事をする最後のお店で あってほしいです。」 

楽しいところに人は集まる。だから活気のあるお店にしたい。 

「この店は社長を筆頭に、スタッフそれぞれキャラが濃いですね。人として面白いし、みんな魅力的です。楽しいところ に人は集まるって言うじゃないですか?  だからピュアハートもそういうお店にできたらって思います。もっともっと活気の あるお店にしたいです。用がある訳じゃないけど行きたくなっちゃうような(笑)」

「とにかく個性が豊か」と、一緒に働くスタッフについて語る時、まゆさんはとても楽しそうだ。

「年齢もバラバラ、趣味も全然被らないし、みんなけっこう個性的。ギャップでいうと、社長が一番凄いんじゃないかな。いちばんピュアなのも社長ですし。写真が得意なのはいうまでもなく、花や空を撮るのも好きらしいんですけど、可愛いものや美しいものに惹かれる内面こそピュアそのものですよね。パッとみた感じの印象からは想像つかないって言う人、多いと思います」

まゆさんにとって、澤瀬社長は恩人でもある。「社長はどんな人なんですか?」と尋ねてみると、まゆさんはしばらく考えた 後に、「……すごい人です」と力を込めて答えた。 

取材後記執筆者:小倉 

ピュアハートで唯一の女性スタッフ。38歳で、シングルマザーであるまゆさんは、とても社会人になる娘を持つ お母さんとは思えない可愛らしい方でした。個人的なことではありますが、執筆担当の私と同じ年です。だからかもしれませ んが、親しみやすく、話しやすく、昔からの友人と話しているような気持ちになりました。きっとどんな方が相手でも、態度 を変えない方だと思います。とても小柄な方なのですが、それを感じさせないパワーがありました。